Yukie Maeda 前田ゆき絵(2014年受講当時 鹿児島大学教育学部4年)

 

「本場を感じたい」。これが、私のミュンヘン夏期国際音楽セミナーに参加する理由であります。いままでヨーロッパを訪れたことがなく、去年から様々な海外セミナーの募集を見つけては、憧れを抱いていました。しかし、漠然とした夢がいざ実現すると、期待と不安が入り混じり、ピアノに取り組む姿勢もこれでいいのだろうかと疑問が生じたままミュンヘンへ飛び立ったので、本当に心配でした。

今回私はベッケラー先生のレッスンを受講しました。先生から溢れ出る洗練された音色は、あたたかくて繊細で、非常に輝いていました。今でも脳裏に焼き付いています。「このような音色が出したかったんだ」と強く思い、4回のレッスンで少しでも近づけられるよう、手首の使い方や姿勢、響き、音の方向性など、丁寧に教えていただきました。また、私の苦手な暗譜をどうやって音楽的に取り組んだらよいのかについても、詳しく教えていただきました。日本に帰ってからの練習方法や、曲との向き合い方を現状打破できるヒントをたくさん見つけることができたレッスンだったと思います。また、レッスン室の天井がとても高く、音もよく飛んでいくので、どのような音を出したいのか、今まで以上に想像が膨らみました。この感覚を忘れないでいたいと思います。

セミナー期間中、多くのレッスンを聴講させていただいたり、中心部やイザール川散策、美術館や教会、宮殿を訪れたりとアグレッシブに行動しました。広大な土地と統一感のある町並み、歴史的な建造物に圧倒され、気持ちも大きくなれた気がします。特に宗教画や教会で感じた静けさ、祈りの気持ちに触れることができたのは印象的でした。

 

このように、初めてのヨーロッパで毎日快適に過ごし、学ぶことができたのは、小長様をはじめ、友の会の皆様の支えがあったからだと思います。心より感謝申し上げます。セミナーを通して、自分自身を見つめ直すことができ、これからも音楽をひたむきに学び続けていきたいと思いました。貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。